2009年07月26日

第4回 IGDA日本デジタルゲーム競技研究会レポート

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7月25日(土)、東京は東急目黒線の洗足の

 Cafe Sion
  http://www.shion.cc/

において、

第4回 IGDA日本デジタルゲーム競技研究会
 http://igdajapan-esports.blogspot.com/2009/07/4-igda.html

が、開催された。
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Cafe Sion は、洗足駅から30秒のいちょう通りに面した
2階にある落ち着いた雰囲気のカフェで、
上品な内装でディスプレイと音響の設備が充実している。

こんな落ち着いた雰囲気で、
IGDA日本の研究会をできるのが、不思議な感覚で、
新鮮でとても楽しかった。

今回は、2009年の上半期のe-sportsの動向を、
SIG-esports 世話人の松井悠氏が解説した。

 
スライドを高感度で撮ってしまい、やや見にくくなってしまって、
すいません。スライドはアップされるそうなので、そちらを見てください。
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松井氏は、e-sports の分類の基本問題から解説し、
マインドゲームに分類することの難しさを解き、
新しい分類を提案した。

また、e-sports の変化が解説され、例えば、
Quake が、e-sports の端緒となり、
(このあたりは、『ダンジョン&ドリーマーズ』本参照)
対戦からチーム戦へ変化を、Counter Stike がもたらした、
歴史が解説された。

また、MOD が大会種目となることもあり、最近では、

DOTA 
 http://www.dota-allstars.com/

と呼ばれる World of Warcraft のゲームが
凄い勢いで流行っていることが報告された。
(日本では流行りづらい状況がある)


また、格闘ゲームの分野では、
ストリートファイター4が流行っており、

 Evolution http://evo2k.com/
 
では1040人を超える参加者があったらしい。
しかし、そんな中で日本人が優勝するなど、、
格闘ゲームでは日本人プレイヤーが圧倒的に強い状況がある。

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また、サブプライムの問題から、去年から、
国際的な大会が、縮小或いは消滅している
e-sports界の厳しい現状が、
逆に、e-sports イベントとは一体誰のものなのか、
という基本的なテーゼを見直す契機となり、
結果として、ユーザーコミュニティがしっかりとしている
大会が存続しながら、新しく再生している現状を説明した。


松井氏の資料は、

 デジタルゲーム競技研究会ブログ
  http://igdajapan-esports.blogspot.com/2009/07/4-igda.html

にアップされる予定であるから、詳細はそちらをご覧ください。

また、日本においても、e-sports大会が、様々な形で開催されている
現状を説明した。

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質問コーナーでは、
LANパーティ文化が、日本で浸透しにくかった状況は、
日本のゲーム環境が恵まれていて、他人と一緒にゲームをできる
オンラインネット環境、携帯ゲーム機環境などが
存在するため、LAN パーティの文化が米ほど浸透しないことが
理由の一つであることが説明された。

また、米では、
BYOC (Bring Your Own Computer、自分のコンピューターを持参する)
が歴史的に習慣化しているという。

米では、地域のPC専門ショップが、ローカルなPCゲームユーザーの
コミュニティ形成の拠点となっており、そういったPCショップが、
行うLANパーティ(倉庫などで行う)から、地域ユーザーが知り合い、
チームを組んで大きな大会に出場する、という流れがある、と
実際に米のLANパーティ全盛時代を過ごしたスタッフからコメントされた。

また、一般的に、e-sports で選択される競技ゲームは最新のゲームではなく、
ユーザーに広く普及して遊び慣れたゲームであり、
また、MOD を利用することもあり、それが、必ずしも、最新のゲームを
展開したいゲーム会社や開発者が、e-sports を身近に感じられない
溝となっていることが指摘された。
こういった溝も埋めて行かなければならないだろう。

正直、自分も、この半年、ゲーム業界にいながら、
e-sportsの情報を自分で自然に得ることは少なかった。
一般のユーザーなら、なおのことかもしれない。

それは、日本における e-sports が、海外に比べても、
ゲームの奔流から乖離した立ち居地に強いられている現状
を表しているだろう。、
これから、e-sports が、一般ユーザーにとっても、開発者にとっても、
より身近な存在になるように、変化して行かなければならない。

そういった意味で、この勉強会は、毎回、本当に勉強になる。
正直、自分のe-sports の知識は松井氏に負うところが大きい。

最後に松井氏は、e-sports の情報源のサイトと、
さらに、そういったサイトが大会の動画を自動的にアップできる環境に
変化しつつあることを解説した。


Negitaku
 http://www.negitaku.org/

e-sports event news japan
 http://esports.jpn.org/

Cyac
 http://cyac.jp/

DHARMA POINT
 http://www.dharmapoint.com/

shoryuken.com
 http://shoryuken.com/

DreamHack
 http://www.dreamhack.se/sthlmI09

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研究会の後は、

 ゲーマーズラウンジ
  http://mixi.jp/view_community.pl?id=982112
  http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B2%A1%BC%A5%DE%A1%BC%A5%BA%A5%E9%A5%A6%A5%F3%A5%B8

が開催された。

ゲーマーズラウンジは、ゲーム好きがそれぞれ自分の好きなゲームを持ち寄って、
一緒にゲームをしたり、対戦したりする会のことで、誰でも参加できる。
以前は、秋葉原のUDXフードシアターで開催されていたが、
前回からCafe Sion に場所を移して、開催となった。

ゲーマーズラウンジは、有名プレイヤーが参加するゲーム会という側面を持ち、
一日を通して、e-sports の流れに触れるよい機会となった。

次回は、8月に開催される予定である。
また、

デジタルゲーム競技研究会ブログ
  http://igdajapan-esports.blogspot.com/

をチェックしているとよいだろう。
 

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2009年07月25日

シャアのお台場ガンダム日記

お台場ガンダム  
 http://blogai.igda.jp/article/30155061.html
の続きです。

シャア 「ここが、シーオカゼか?」
アカハナ「いや、潮風公園です」

シャア 「白い奴は何処だ?」
アカハナ「何処って、目の前に…」

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シャア 「大胆だな。隠そうともしないとは!
     行くぞ、アカハナ!」
アカハナ「っていうか、あんたが一番目立ってるよ!」

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シャア 「民間人が多いな。気付かれるな」
アカハナ「だから、少佐、あんたが一番赤いんだってば!
     少佐!」

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アカハナ「少佐!」 

シャア  「なんだ、でかい声を出すな!」
アカハナ「ちゃんと並ばないと駄目です!」
シャア  「…」

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シャア 「ふふふ…。間接のジョイントが丸見えではないか…。
     これなら、壊せるな」
アカハナ「いや、結構、上の方ですよ。誰がやるんですか?」

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シャア 「アカハナ、材質はなんだ」
アカハナ「さあ、アルミかなんかじゃないですか。」
シャア 「…」

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アカハナ「わかりましたよ! ガンダニウムですよ。ガンダニウム!」

シャア 「だろうな…。偵察は終わりだ。」 (ういーん)

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アカハナ  「少佐、こいつ動きます。」
シャア   「なにい。パイロットが乗っていたというのか。
         パイロットの気配が感じられん!」

アカハナ 「中の人は開会式に来ていたそうですよ。」
 http://robot.watch.impress.co.jp/docs/news/20090711_301628.html http://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY200907110164.html

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アカハナ「顔だけみたいです。きゅぴーん、って音もしてます」
シャア 「まずいな。我々もモビルスーツで出るぞ!」
アカハナ「まずは、ゆりかもめに乗ってください。
      あと、帰るときも、ちゃんと並ばないと!」

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試論:ゲームとは何か?

ゲームとは、人の行為から世界を再構築する試みである。
その行為が、世界に如何に影響を及ぼすかを識り、
行為の連続によって自己と世界の変化を体験し認識することである。

同時に、行為の主体は自分自身でなければらならい。
行為と行為の主体たる自分という条件から、ゲームは成立する。
行為が制限され、或いは、行為の主体が自分自身であることを
止めるとき、ゲームは終わるのである。

それは何も行為ができなくなるということのみならず、
自身の行為が世界に影響を及ぼさない、つまり、世界の軸から、
プレイヤーが完全にずれていると感じてしまうとき、
ゲームはまた終わるのである。

行為が世界に及ぼす影響(或いは、可能性空間)、
それが、十分に取りえる行為自身によって適切な大きさであり、
状況を変え得ると確信できること、
そして、体験と認識から再び行為を産み出せること(マジックサークル)、
この2つがあるとき、ゲームはよいゲームとなる。
通常、こういったゲームだけがゲームと言われるのである。

即ち、ゲームをデザインするものは、まず、
ゲームの世界とプレイヤーの行為の影響を計らねばならない。
次に、プレイヤーが己れ自身の行為の影響を適切に知覚できなければならない。
最後に、その認識が次の行為を産み出す循環を持っていなければならない。

この3つが揃うとき、ゲームは真に適切なゲームになるのである。
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2009年07月23日

ロボカップサッカー・シミュレーション2Dリーグ 今年の国際大会の結果

ロボカップサッカーのシミュレーション2Dリーグで有名な、
電気通信大学の西野先生から、今年の国際大会の結果についてお知らせを頂きました。

掲載許可を頂いたので、少し編集して掲載します。
西野先生、ありがとうございます。

西野先生は、ゲーム関係の講演会においても精力的にご講演なさっています。

「サッカーのAI RoboCupサッカーシミュレーションリーグ」(DiGRA JAPAN 2009年5月公開講座)
   http://www.digrajapan.org/modules/news/article.php?storyid=264

「ゲームとAI」(CEDEC2008)
   http://cedec.cesa.or.jp/2008/archives/archive_3.html

Junji Nishino's WWW home(ロボカップサッカーの情報も豊富です)
 http://www.fs.se.uec.ac.jp/~nishino/

やや欠け月 半月 三日月 満月 犬 猫 


先日世界大会が終了し、日本のチームHELIOSが準優勝しました。

決勝は中国の常連チーム相手で残念ながら負けてしまいましたが1:2の熱い戦いでした。
なかなか楽しめると思います。ぜひご覧ください。
以下のページのViewで最終試合ログをフラッシュで見ることができます。
画面上部の▲が再生ボタンです。

 http://romeo.ist.tugraz.at/robocup2009/final_decisive/


robocup_soccer_2d_final_2009.jpg
(この図は三宅が勝手に貼り付けました)

昨年までにくらべ、非常にきついマークが付く動きとなっています。
中国は423、日本は2トップ4バックです(4トップ気味ですが)。
ご感想などいただければ幸いです。

より情報の多い専用ビューアで再生した様子を、
YouTubeに掲載されています。

 http://www.youtube.com/watch?v=Q18Wxs3Da-8

こちらをHDモードで見ていただくと、プレイヤーの大きさ(体格とスピードを表しています)や、
スタミナの減り具合、またボールの大きさがもっとリアルなスケールになって臨場感が増しています。
HELIOSとWrightEagleで、プレイヤの配置、使いかたの戦略が全く違うことが分かります。

予選リーグからすべての試合もあります
http://romeo.ist.tugraz.at/robocup2009/

※こちらは実際のシミュレーションのためのバイナリーファイルが置いてあります。


猫 犬 満月 三日月 半月 やや欠け月 

[補足]
 http://romeo.ist.tugraz.at/robocup2009/group_A/
などの、RCG のログファイルは、

 soccerwindow2
  http://sourceforge.jp/projects/rctools/releases/

で、再生することが出来ます。
 
[参考文献]
秋山 英久 (著) 、 「ロボカップサッカー シミュレーション2Dリーグ必勝ガイド」


robocup_soccer_2d.jpg

絶版みたいです。自分は、先週、本屋で偶然手に入れました。
とてもわかりやすく、実際の実装が解説されています。
 
ゲームの実装と違うところは、慣性スピードや、回転などまで、
リアルな環境を前提に実装がされているところです。
簡単に言えば、自分の位置情報まで含めてチートが全くない、
という点でしょうか。

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2009年07月18日

人には物語が必要なんだ。

人には物語りが必要である。

おそらく人の不安から、
おそらく人の希望から、

天から地から人から紡がれる物語りが、
人には必要なんだ。

そうでなくては、
我々は自分の生という一つの物語に固定されたまま、
自らを閉じ込めて生きるしかないからだ。

時に僕は、物語がひとつもない国のことを考える。
ありとあらゆる物語がなく、人が自分のことしか知らない世界、
物語を通して人と交感することも、自分から離れることも、
空想へ旅することもできない世界。
それは一つの牢獄のように思える。

小説も、ファンタジーも、
人の生を知りたいと思うのも、
近所話も、TVの話も、電車の中でふと聴こえて来る話も、

我々が自分の生をたどりながら、
同時に、我々自身の生を、
もう一度新しく解釈し構築しようとする試みに他ならない。

物語が我々を遠くへ運ぶ作用と同時に、
我々はその極から、再び自分自身の生を新しく取り戻すために、
帰って来なければならない。
posted by miyayou at 17:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2009年07月16日

社内セミナー150回

社内で毎週、主催しているゲームAIセミナーが、今日ちょうど150回目だった。入社して少し経った2005年から始めたので、ちょうど4年続いていることになる。

毎年、発表者が一つのテーマを決めて発表する。発表は5分から30分の間でよい。量は問題ではない。大切なのは、そのセミナーで、一つの言葉、一つの概念を正確に覚えることである。

正確に理解した、一つの言葉、一つの概念は、その人の内側から、その人の認識を、時間をかけて自然と変えて行くものである。人の理性とは、それほどデリケートなものである。

そして、そういった言葉、概念を、セミナーを重ねることで、一つ、二つ…と増やして行くことで、自然と人工知能に対する理解が育まれて行くのである。育むのは僕でもなく、人でもない。概念と言葉である。言葉を大切にできない人間に、正確な認識はない。

さらに業務上、大切なことは、その言葉を使って、人工知能について議論することである。一つの専門用語を覚えれば、その言葉を使って、より簡潔な言葉でより多くの事柄を示すことができる。そういった言葉が、一つ、二つと重ねれば、相乗的に新しい組み合わせた言葉を使った議論が出来る。そして、それが10個になったら、20個になったら、そして100個になったらどうだろうか? そこには、もはや、そういった訓練を経て来なかった人間にはないレベルの議論を自然に出来るようになるのである。これが言葉を積み重ねることの効果である。

2006年から2007年に行ったゲームAI連続セミナーを契機の一つとして、さまざまな企業で、社内AIセミナーが始まっている。僕はその源流として、そういった社内セミナーをサポートしたいと思っている。会社によっては、社内でセミナーを行うことさえ、大きな抵抗に合うことも珍しくないからだ。自分自身の道も、周囲の理解を得て行くことの連続であったのだ。

社内セミナーはおそらく、日本独特の文化だろう。そもそも、競争文化の米などで、一緒に勉強する理由はないかもしれない。また、常に海外の動向に気を張らなければならない日本において、海外の技術を学ぶセミナーは必須とも言ってよい。最先端のゲームAI技術の文献は殆ど英語である。

技術者がのびのびとゲーム開発ができる環境を作るためには、大きな土壌が必要だ。セミナーはその一つの手段である。

以下の文献の、第4章に、セミナーの開催方法と参考文献、135回分の見出しを掲載しておいた。社内セミナーや学習の助けに活用して頂きたい。

デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究報告書
 http://www.dcaj.org/report/2008/ix1_03.html
 http://www.dcaj.org/report/2008/data/dc_08_03.pdf
    (第4章9.3)
posted by miyayou at 04:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年07月15日

SIG-Indie第2回研究会「ゲームデザインとメイキング」レポート

SIG-Indie第2回研究会「ゲームデザインとメイキング」
http://www.igda.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=49

レポートです。…けれど、司会とかいろいろ裏方だったので、細かいメモがないので、
後ろから見た図などを挙げて、全体の雰囲気をお知らせしようと思います。公式レポートとかではないです。

というか、読み返してみると単なる感想ですね。犬
詳しくは、Inside Games の

 開発手法がプロ化している同人・インディーズゲーム 〜 IGDA日本 SIG-Indie 第2回研究会
  http://www.inside-games.jp/news/363/36319.html

をご覧ください。参加者の方でも詳細にまとめられています。こちらから、辿ることができます。

  http://www.igda.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=76
 
[第一部]
まず、新代表による、Sense of Wonder Night (SOWN) の紹介と募集要項です。

Sense of Wonder Night (SOWN)
 http://tgs.cesa.or.jp/sown/

アマ・プロを問わず、”驚き”(Sense of Wonder)のあるゲームを募集します。
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続いて、小山先生の、経済から見た「商業ゲームの保守化とインディーズゲームへの期待」
です。早朝からドラクエを購入した小山先生。ゲーム開発が抱える閉塞感を打破する一つの
方向としてのインディーズゲームの可能性を示しました。
ゲームへの深い造詣と、専門の経済的知見が合わさったよい講演でした。

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[第二部]
muracha (Easy Game Station)
「画面作りから見るゲームメイキング」

高い3D技術と美術を持つ Easy Game Station の、
開発の舞台裏、ツールと開発手法が解説されました。
僕は個人的に「特急天使」の背景の美しさがとても好きです。

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isao (神奈川電子技術研究所)
「あかんゲーム と ええゲーム」

技術を主体にしたゲーム製作の結実の一つ「Qualia」。
発想の源泉をリストにして解説してくれました。
ボイド、フラクタル、…、概念をゲームとしてまとめた上で、
美しいデザインとしてまとめられています。

「Qualia」は4gamersの記事で見て、すぐにゲームレジェンドに購入しに行きました。
「Qualia2」も、まっすぐコミケへ。猫

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小川幸作 (チームグリグリ)
「メンバーの個性を生かすゲーム作り」

何よりチームワークの大切さを強調されていたのが印象的でした。
かつ、それを技術力で実現してしまうところに、感動しました。

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OMEGA (OMEGA)
「ゲームルールをデザインするね」

一人で開発しているという OMEGA氏。
ゲームデザインに関するリズムの大切さ、
初心者への配慮、テストプレイ駆動という独自の手法を
紹介してくれました。とても勉強になりました。

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 おにたま (オニオンソフトウェア)
「HSPプログラムコンテストの紹介と取り組みについて」
http://www.onionsoft.net/
http://hsp.tv/ (HSPオフィシャルホームページ)

HSPの開発者おにたまさんによる、HSPプログラムコンテストの紹介。
プログラミングの楽しさ、ゲーム開発の楽しさを伝えるHSP。
そして、誰でも参加できる開発・発表のコミュニティが形成されて
行っているようで、とても心打たれました。

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[第三部]
ディスカッション (司会:渡辺訓章[kuni-soft])
渡辺さんの司会による講演者全員によるディスカッション。

オリジナルはあり得るのか、というテーマに対し、
それは滅多にない。むしろ、他のゲームを「真似る」ことは、
作法を踏まえることで、壊さないでよいところも多い。
そこから、少しずつ変えて行けばよい、という主張が印象的でした。

あえて、オリジナルにこだわって苦しむより、
まずは、知っているデザインを真似て作ってみよう、という
メッセージだったと思います。

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(感想)

全体的に、非常に高度で内容のあるセミナーでした。
これほどの充実セミナーも珍しいかと思います。
それは、講演者の方の実施を踏んだ知見が溢れていたからだと思います。

商業ゲームの講演だと、同じゲームに対して、技術やデザインなど、
分野を分けて、担当者が話すことになるため、
一人の人間が何もかも話すことはまずないのですが、

今回は、各講演者が、密接にゲーム全体からリリースまでを体現しているため、
本当にゲームそのものの本質に迫る講演と討論で、
聴き手側もエキサイトできたのだと思います。

第一回の反省を踏まえて、第二回ではゲーム紹介ムービーをお願いするなど、
いろいろな改善点を踏まえて望みました。第三回も、今回の反省点と
よかった点を踏まえて望みたいと思います。

[資料]今回の発表資料はこちらです。
 http://www.igda.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=76

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2009年07月14日

pixivフェスタ第2回へ

pixiv フェスタ第2回
 http://festa.pixiv.net/

へ行って来ました。
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日曜日の原宿ということもあって、
こじんまりとした3階全フロアとも、満員でした。

店内は、フェスタに応募した方が、フェスタ用に描きおろした
掛け軸サイズの絵が、余裕を持って置いてありました。

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気に入った絵には、入場のとき貰うパンフレットに挟まれている
星シールを張って行きます。だいたいどの絵も人気があって、
星シールは飽和状態でした。また、コメントシールも張れます。
これは、WEBのpixivのシステムのリアル版という感じです。 
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各掛け軸の横には、来場者がその絵や作者に関する感想を
書くためのノートが掛けられていました。どの絵にも、
2〜10ページぐらいの描く込みがありました。

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pixiv は高々2年という短期の間に、100万ユーザー、
7億ビュー/月を達成した今WEB上で最も注目される
現象になっています。こうして、
リアルなイベントへ繋がるということも、これが新しいタイプの
現象であることを示しています。

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飾られた絵の中には、もちろんキャラ絵や版権絵もあるのですが、
概して、背景まで含めた一枚絵として、極めて精緻に描かれた絵が
多いです。これは既にオタクカルチャーに留まらない、
2Dデジタルアートというジャンルの展覧会になっています。

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雲を壮大なパースペクティブで描いた絵や、
油絵のタッチで描かれた都市、
童話の絵のようなタッチの街角の風景や、
抽象絵画のように記号が散りばめられた絵、
そういった多様な絵に、男女問わず、足を止めて、
作者と歓談しながら見つめている光景が見られました。
服装からして(失礼)、僕が知っているオタク層とは違う
空気を感じました。

ここには、新しい文化があるのです。
posted by miyayou at 02:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年07月09日

インディーズ・同人アニメーションの現在

今日は、インディーズ・同人アニメーションの
最近の動向をまとめたいと思います。
最近と言っても、アニメーションを作るには、
特にインディーズ・同人では、時間がかかるので、
この5年ぐらいの話になります。

あと、インディーズと同人を一緒にするなー、
という感じですけど、境目が見えにくいところもあるので、
一緒にまとめてみることにしました

(順番に意味はないです。思いつくまま…。
 あと、同人とインディーズの区別も曖昧です。)

自分が知っていて作品を見たことのある範囲なので、
もちろん、全部ではもちろんありませんし偏りがあります。

猫 
[インディーズ]

 1 新海誠さん

「Other voices-遠い声-」
http://www2.odn.ne.jp/~ccs50140/index.html

「ほしのこえ」(アーサーCクラークのSFからヒントを得た題名)
 http://www2.odn.ne.jp/~ccs50140/stars/
「雲のむこう、約束の場所」(池袋のエレベーター試験用の煙突から着想)
 http://www.kumonomukou.com/top.html
「秒速5センチメートル」
 http://5cm.yahoo.co.jp/

などの傑作で確固たる地位を確立。説明不要の有名クリエーター。
遠い日への憧憬、村上春樹的な世界とSFの融合が特徴。
この世代のリーダー的存在。


2 ロマのフ比嘉 http://studio-rf.com/

プロのアニメーターですが、インディーズでも自作されています。
硬派なキャラクターと重厚なストーリーが特徴。
「URDA」でインディーズ3Dアニメという分野自体を切り開き、
衝撃を与えました。

「URDA」(プロモーションが見れます)
http://www.showtime.jp/animation/b-ch/urda/

個人サイト
http://romanov.blog33.fc2.com/

インタビュー
『CATBLUE DYNAMITE』新作3Dアニメ完成!作品を語る(アニメアニメ)
 http://www.animeanime.jp/interview/cat.html


3 吉浦康裕さん(スタジオ立花) http://www.studio-rikka.com/

「水のコトバ」で独自の世界を切り開き、「ペイルコクーン」で
深いSF的構成と斬新なビジュアルの作品を作り上げ、注目を浴びる。

「水のコトバ」
 http://www.studio-rikka.com/page/mizu/mizu_top.htm
「ペイルコクーン」
 http://www.studio-rikka.com/page/pale/pale_top.htm

現在は、連作「イヴの時間」を製作中。目が離せないクリエーター。


犬

[同人]
 
4 感電注意

感電注意は、同人アニメ好きなら知らない人は(ほとんど)いない、
有名サークル。可愛い女の子キャラと富んだ(飛んだ)世界観が特徴。
コミケやコミティアで作品を購入することが出来ます。
CG集の他に「DIVINE GARDEN」「FAME MOON」が有名です。
ミュージッククリップなども秀逸です。

感電注意
 http://www.kandenchui.com/

FAKEMOON
  http://www.kandenchui.com/htm_fld/pro.htm


5 星に願いを

BARNUM STUDIO
 http://barnumstudio.com/

はプロのスタジオ。
 
バーナムラボラトリー
 http://www.barnumlaboratory.com/
は、そのインディーズ向けのレーベル。 
 

「星に願いを」
 http://blog.barnumstudio.com/?eid=1206914

はコミケの商業ブースで発売された、
インディーズ(?)作品だが、プロの声優や、
「星の海のアムリ」に参加していた
著名なクリエーターが参加している。
続編が製作中。当然ながら、レベルが高い


6 MAIKAZE  http://maikaze.com/index.html

同人シーンを席巻する同人シューティングゲーム「東方シリーズ」の
同人サークルによるアニメ化。4年の歳月をかけ、第一作がついに完成。
プロモーションムービー、設定資料集などは先行して販売されていた。

東方アニメプロジェクト・夢想夏郷
 http://www.usamimi.info/~maikaze/

夏への郷愁に満ちたストーリー、背景の美しさ、プロ声優の起用が特徴。


7 石川プロ http://home1.tigers-net.com/sammena/main.html

「どっちもメイド」
  http://sammena.sakura.ne.jp/anime/dotch/dotch.html

など、アニメへの偏愛を感じさせる同人らしい作品をリリースする、
知る人は知る石川プロ。一度見たら忘れられない
「すのこたん」など進化を遂げるアニメーションに熱心なファンも多い。

8 サムネイル http://www7b.biglobe.ne.jp/~vendetta/

「鋼鉄のヴァンデッタ」一作によって、ロボットアニメファンの
間では、好評を博す。

ただ、まだオープニングしか出来ていない。
 
9 ElectromagneticWave  http://www.ne.jp/asahi/magneticwave/popcan/

「萌え単」「童話シリーズ」で有名なイラストレーターPOP氏が所属する、
サークル。     

「こわれかけのオルゴール」
 http://www.ne.jp/asahi/magneticwave/popcan/kowa/

が話題に。これもプロのスタッフが多数参加している。
声のないバージョンがコミケで販売された。
最近はキャストが決まったらしく、ニュースに。

アート

[アート]

10 TAKORASU (タコラス) http://takorasu.com/

独特の「動くCG」で注目を集める。
独創的かつ高度に完成された世界で幻想の機械世界を描き出す。

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2009年06月30日

ゲームAIデザインパターン:「目的を持った集団」

群集シミュレーションとか、フロック(flock)の3原則など、
集団をシミュレートするアルゴリズムは、Reynolds の仕事に触発され、
多数の仕事が積み重ねられて来ました。

Craig.F.Reynolds
 Big Fast Crowds on PS3
  http://www.research.scea.com/pscrowd/
 Boids
  http://www.red3d.com/cwr/boids/

そんな Reynolds が去年のSIGGRAPH 2008 で提唱したのが
「目的を持った集団」という考え方でした。

プロシージャル技術をアニメーションや群衆シミュレーションに応用
(Mycom、西川善司)
- 同じ目的を持ちながら個別の知性で動く「群衆」(下段3つ目の記事)
  http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/08/11/siggraph01/002.html
 
確かに、これまで単なる群集のシミュレーションはあっても、
共有の目的を持った群集を目指すということは、それほど多くありませんでした。

この言葉をキーワードにして、これまでのコンテンツを探してみると、
商業、インディーズを始め幾つかの例が見つかります。

@4gamers - インディーズゲームの小部屋:Room#67「Swarm Racer」
 http://www.4gamer.net/games/040/G004096/20081126033/

A4gamers - インディーズゲームの小部屋:Room#82「Dyson」
 http://www.4gamer.net/games/040/G004096/20090325031/

BSense of Wonder Night (今年も作品、募集中)
 http://tgs.cesa.or.jp/sown/
 http://www.gpara.com/article/cms_show.php?c_id=9903&c_num=56
 
 で選考作品となった、

  Genocide Automation
    http://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2008/business/sown.html
    http://www11.plala.or.jp/normal/

Cくりきん ナノアイランドストーリー(DS)
  http://www.nintendo.co.jp/ds/a2kj/index.html

DKARAKURI(PSP)
  http://www.tecmo.co.jp/product/karakuri/system.htm

「目的を持った集団」というパタンーン・ランゲージをもとに、
ゲームデザインとAIをセットで考えてみると面白いかもしれません。

PS>

 集団制御はいつもAIでは魅力的なテーマなのですが、
 なかなかうまく応用できている例はありません。

 2Dの場合は、俯瞰視点なので、うまく行くのですが、
 3Dの場合は、主観視点から見るので、集団が集団に見えない。

 レイノルズを初め、ほとんど集団は俯瞰視点からシミュレーション
 を見ているので、うまく行っているように見えるのですが、

 3Dの主観視点から見て集団に見えるようにするには、
 そのままでは駄目なので、

 実は、そのための技術こそが、ゲームAIの独自の技術
 である部分なのです。

posted by miyayou at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月29日

「コンテンツと場所」第一回コンテンツ文化史学会例会レポート

contents_bunka_04.jpg 

6月28日(日)、東京は豊洲の芝浦工業大学のキャンパスで、
コンテンツ文化史学会、http://www.contentshistory.org/
第一回例会が
 http://www.contentshistory.org/2009/06/08/370/

「コンテンツと場所」をテーマに開催された。

13:00 〜 13:15 吉田正高会長挨拶 (東北芸術工科大学)
13:15 〜 13:55 土居浩(ものつくり大学)「ライトノベル[の/と]場所研究」(仮)
14:05 〜 14:45 玉井建也(東京大学)「異界・リアリティ・聖地」(仮)

以下のレポートは厳密でない部分が多々あると思いますが、文責は三宅にあります。
contents_bunka_01.jpg

まず、4月の学会設立から初めての例会ということで、
吉田会長から、学会の主旨と理想の説明が行われた。

吉田会長はまず、広い意味で分野を横断したコンテンツの歴史の
教育が不足していることを鑑み、東京大学で正式な授業となった、
コンテンツ文化史の講義の発足と経緯を説明された。

その際に、一次、二次資料の収集の労と、先達の研究を
個々の研究に加えて「コンテンツ文化史」として総合的に
捉えなおす必要を痛感すると同時に、その仕事と分野の広大さを
知り、若手を含む多くの優秀な研究者と協力して、
研究を進めて行く場として学会を設立されたとのことである。

会場には、想定した以上の参加者が訪れ、吉田会長に劣らず、
高いモチベーションの研究者、コンテンツ開発者が、
真剣な面持ちで会長の話に聞き入っていた。

contents_bunka_05.jpg

続いて、「ライトノベル[の/と]場所研究」ということで、土居氏は、
ライトノベルを評論やブログで展開される解釈という側面からでなく、
研究として成立させる客観的な手法の効用と必要性を説いた。

実例として、「涼宮ハルヒの暴走」の短編「エンドレスエイト」を
テキストとして、氏の地理学的なバックグラウンドを生かし、
物語内の「場」に着目し、どのページ、どの行が、特定の場所の記述に
割り当てられているかの調査を行い数値化した。
氏は、こういった数値からコンテンツを読み取る以上に、
他のテキストにも適用しておくことで、テキスト間の比較を
可能にする手法として手法自体をブラッシュアップして行く
重要性を説いた。

また、こういった研究の課題として、
研究者が研究資料にラベリングを行う外在性と、
研究資料自体が、自身を規定する内在性の対立を乗り越えることを指摘した。

contents_bunka_02.jpg
二人目の講演者として、玉井氏は「異界・リアリティ・聖地」ということで、
前半と後半に分けて二つの調査結果を解説し、その考察を説明した。

前半は「かみちゅ!」というTVアニメーションが尾道を舞台に
話が展開されたことをヒントに、「尾道」という場をキーワードとして、
文献調査と実地調査を行い、「尾道」という場の上に、
多層的に積み上げられるコンテンツのレイヤー(層)構造を説明した。

かみちゅ!
 http://www.sonymusic.co.jp/Animation/kamichu/ 

最初に、尾道を訪れるものは神社巡りを訪れる主としていた。
また、「尾道」は「玉の浦」として、万葉集で和歌の中にも登場し、


 「ぬばたまの 夜は明けぬらし 玉の浦に あさりする鶴 鳴き渡るなり」

ここを訪れる人は、一つの和歌を手がかりに、
尾道の紀行を描いて来た歴史を持つ。

さらに、尾道は小津安二郎の「東京物語」の舞台でもあり、
「東京物語」のロケ地探訪として観光する人もいる。

次に最も有名なのが、大林監督の尾道三部作であり、撮影場所を
つぶさに訪れる人が多く、最近の旅行パンフレットの
殆どが、このコンテクストに拠っている。

そこに新しく加えられたのが、「かみちゅ!」という尾道を舞台にしたアニメーションであり、
ファンは、舞台になった場所を詳細に巡り写真に収めブログを書く。
また舞台となった神社には多数の「かみちゅ」絵馬が奉納されている。

しかし、その絵馬をかける場所は、通常の参拝とは、別の場所になっている。

玉井氏はここに、アニメの聖地巡礼という行為が、
ファンの間で閉じている行為
(訪れ、ブログに書き、読み、読んだ人の中からさらに訪れる人が出る)
であることを指摘し、また、それは、他のコンテクスト・レイヤーについても、
同様であると指摘する。
そして、各レイヤーが独立であるがゆえに、それぞれの巡礼行為が並行的に存在する。
ここに氏は即席のツーリズムが、観光資源化し、歴史的蓄積となる過程として、
聖地巡礼を捉える可能性を指摘した。

玉井氏のこの研究については、学会の会誌「コンテンツ文化史研究」vol.1 に
論文として掲載されているので、正確にはそちらを参照して頂きたい。
学会誌は、学会に入会すると受け取ることが出来る。

contents_bunka_03.jpg

後半では、「朝霧の巫女」をテーマに聖地巡礼の異なる成立の
仕方を解説した。「朝霧の巫女」(副題、平成稲生物怪録)は、
広島県三次を舞台にしたコミックとそれを原作にしたアニメーションである。

朝霧の巫女
 http://www.b-ch.com/cgi-bin/contents/ttl/det.cgi?ttl_c=1428

広島県三次には、「稲生物怪録」と言われる江戸時代中期から伝えられる
発祥の物語があり、妖怪との一ヶ月の戦いをまとめた物語である。
この物語は、江戸時代以来、様々に引用され、次第に三次という土地から
乖離してアレンジされて行った歴史を持つ。そして、「朝霧の巫女」に
至って、「稲生物怪録」は三次という土地に回帰した。
三次では、原作「朝霧の巫女」原画展や原作者サイン会などが開催されている。
「朝霧の巫女」の聖地巡礼は、原作の原作「稲生物怪録」から乖離して、
「朝霧の巫女」の聖地巡礼として行われているが、三次は、
「朝霧の巫女」を本来の「稲生物怪録」の中に組み込むことで、
逆に「朝霧の巫女」を通して「稲生物怪録」へ、そして三次という土地
そのものへの結びつきを回復しようとしている。
ここに、歴史的に独立したレイヤーとして成立する「かみちゅ」の
聖地巡礼と、決定的な相違点があるのである。

さらに、休憩をはさんで、参加者から集めた質問を吉田会長が選別し、
講演者二人に質疑をするという形式のディスカッションが行われた。

参加者からは、聖地巡礼と距離の問題が挙げられた。
アニメの舞台が東京や自分の日常空間と重なる場合、
それは聖地としてピックアップされることは少ない。
(例えば、かみちゅへ尾道まで行っても、第4話の東京の回の
 国会議事堂のシーンが聖地巡礼として取り上げられることはない。)

また、そこから、聖地巡礼とは異界への旅なのではないか、
という考えが、吉田会長から提起された。
聖地の多くが、神社や祭りの場など元から神聖な場所と重なっており、
その二重性は、聖地巡礼という行為が、そもそも異界への旅として
象徴化されているのではないか、ということである。
それが、日常的な空間が聖地にならない理由でもある。

ただ、この異界というものが、単に、日本の伝統的な会談や、
民俗学が描き出す異界ではなく、涼宮ハルヒのように、
サイエンティフィックな空間として描かれていることに、
これまでにない新しさがあるとは、土居氏の指摘である。

例会は17時前で終わり、懇親会が開催され、それぞれの宴席で議論の続きが行われた。
第2回は「ライトノベルと文学」をテーマと開催が決まっている。

コンテンツ文化史学会
 http://www.contentshistory.org/

学会員になっておくと情報と学会誌を受け取ることが出来る。
posted by miyayou at 05:27| Comment(1) | TrackBack(1) | 日記

お台場のガンダム

 gundam_in_tokyo_01.jpg
アカハナ  「シャア少佐、偵察中に白いモビルスーツを発見しました」
シャア    「なに? 白い奴か? 間違いないな」
アカハナ  「間違いありません、少佐」
シャア    「フフ、ついに捕まえたぞ、ガンダム…。
         して、やつは今どこにいる?」
gundam_in_tokyo_02.jpg
アカハナ 「はっ! お台場公園からお台場へ向かうゆりかもめから確認できました」
シャア   「海側だな」
アカハナ 「そうであります!」 
シャア   「アカハナ、貴様は、お台場公園からお台場へ向かう右側に発見したと言ったな。
                とすれば、逆も可能ではないのか?」
アカハナ 「と言いますと?」
gundam_in_tokyo_03.jpg
シャア 「考えてもみたまえ。お台場公園からお台場へ向かう途中で見つけたということは、
      お台場からお台場公園へ向かう左側でも見つかることではないのか!
      早速、出るぞ。アカハナ、おまえは部下3人を従えて、私を援護しろ。
      それと切符を買っておけ!いや、私のは『お台場・有明ぐるりきっぷ』にしておけ!
アカハナ 「はっ!」

※公式公開は、7月11日(土)からです。
   GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト
   http://www.greentokyo-gundam.jp/
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2009年06月20日

IGDA JAPAN SIG-BORADGAME 1st Game Design Workshop Preparing...


IGDA日本では、その活動を世界に発信するために、サイトの英語化を勧めています。
このブログは先にアップされたブログの英訳版になります。
http://blogai.igda.jp/article/29685665.html

IGDA JAPAN is now preparing English version site for its own Japanese site to distribute its informations to the world.
This blog is an English version page for a Japanese blog page updated before:
http://blogai.igda.jp/article/29685665.html

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On 6th  June,
IGDA JAPAN SIG-BOARDGAME members had the game design workshop
to rehearse the next workshop:

On 20th June
 SIG-BG 1st Game designe workshop by using the popular boardgame : Catan.
 http://www.igda.jp/modules/eguide/event.php?eid=1

I explain this rehearsal in this blog. 
*    *   * 


For the workshop, it needs  4 player, 1 insturcter, and 1 observer.

1st Phase
Beginners play Catan for one hour,

or veteran players play it for a few turns.
ai_20090606_00.JPG

2nd Phase
The aim  to this workshop is to think "How to extend or improve Catan, or What kind of games we could make based on Catan".  In the 2nd phase, 4 palyers have brainstorming for 30 min., and write their ideas on a yellow paper.
ai_20090606_01.JPG


 ai_20090606_02.JPG

3rd Phase
A instructer picks up some good ideas from them,

and orients the discussion.
4 players keep discussing about the topics a instructer picks up(1 hour). 
 
(Blue papaers is ideas 4 players agree with.)

 ai_20090606_03.JPG
 ai_20090606_04.JPG

4th phase
A observer make many ideas one whole game design and write a document of it.
(But we could not have enough time to test our game idea...)

 ai_20090606_06.JPG

5th phase
Presentation to the other group members(3 minuters)。

ai_20090606_05.JPG
Finished !

For today's rehearsal, we wasted too much time for 2nd phase.
In 2nd phase, there were too many ideas.

And we could not have enough time to test our ideas.
I think we should make each discussion more comapct.


 
Result:

Title: Dragon Baster in Catan
Theme:  Defeat a dragon came to Catan Island

Concept: Co-operational play
 

Game:
A thief piece is regarded as a dragon which
destroys a field as it moves.
Players' goal is defeat a dragon.

In a first half game, they make a rate of resource production up by getting more
fields, and connect a road to exchange their resouces each other

while they run away a dragon to a field which has little resource.
In a last half game, they damage a dragon with a weapon

while players increase their resources.
As a dragon grows as a game goes, it increase power to damage a field.
It is a critical condition to accomplish a goal
whether players could defeat a dragon before it has grown completely.

Techniques:For each turn, each player can pick up two actions from the four:
"Production","Exchange","Construction","Using a card".
A port is an only place to exchange a weapon card which can
damage a dragon. To use it, a player must approach a dragon closely.
It is most important thing for players to win to cooperate each other.

posted by miyayou at 04:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月18日

Paris Game AI Conference (France) におけるゲームAIの情報

AiGameDev.com  http://aigamedev.com/
主催(モデレーター、Alex.J.Champandardさん、上記サイトも主催)

による、昨年に続く2度目となる Paris Game AI Conference が、
6月10、11日に開催されました。

http://aigamedev.com/open/article/paris-cfp-2009/

以下に、プログラムと講演概要が掲載されています。
 
http://aigamedev.com/open/article/2009-paris-registration/

まだ資料は全部資料は上がっていませんが、現時点で、
概要から推測して参考になる情報を上げておきます。

-------------------------------------------------------------
@ Remco Straatman: Killzone 2’s AI Bots

資料なし。概要を見ると、KILLZONE 2は、Hierarchical Tasking Network(HTN) を採用している。
HTN については、以下の資料を参照してください。

Hierarchical Plan Representations for Encoding Strategic Game AI
 http://www.cse.lehigh.edu/~munoz/Publications/AIIDE05.pdf
 http://www.cse.lehigh.edu/%7Emunoz/research.html

SquadSmart - Hierarchical Planning and Coordinated Plan Execution for Squads of Characters
 http://www.aiwisdom.com/ai_cooperation.html
 http://www.aaai.org/Papers/AIIDE/2007/AIIDE07-003.pdf

Coordinating Teams of Bots with Hierarchical Task Network Planning
    Hector Munoz-Avila and Hai Hoang (Lehigh University)
  AI Game Programming Wisdom 3, 2006.

Hierarchical Planning in Dyanamic World
         Neil Wallace - Black & White Studios / Lionhead Studios
        3.5, AI Game Programming Wisdom 2, 2004

---------------------------------------------------------------
A
The Pure Advantage: Advanced Racing Game AI (Gamasutra)
 by Eduardo Jimenez

以下に、講演者による詳細な記事があります。
 http://www.gamasutra.com/view/feature/3920/the_pure_advantage_advanced_.php
--------------------------------------------------------------
B
 Mikko Mononen: Voxelization of Polygon Soups
   Ricard Pillosu

資料なし

Toward Solving Pathfinding 
 http://cmpmedia.vo.llnwd.net/o1/vault/gdc09/slides/Path_Planning_AI_Summit.ppt

の中に、3Dラスタリぜーションの仕事が紹介されています。
AIGameDev の有料会員のページに記事があるけど、会員以外は見れません。

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C Ricard Pillosu: Behavior Trees for Agent Coordination

資料なし
以下に、過去の講演の映像があります。(スペイン語?)

 Ricardo Pillosu - Coordinación de Agentes usando Árboles de Comportamiento
 http://www.youtube.com/watch?v=S3fbHReq48M

-------------------------------------------------------------------
DWilliam van der Sterren: Planning Multi-unit Maneuvers (CGF AI)

PPT があります。
 http://www.cgf-ai.com/products.html
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posted by miyayou at 03:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月17日

BSP法の源流を追う〜ジョン・カーマックによるDOOMの実装からQUAKE WARSまで

BSP(Binary Space Partitioning)法とは、壁などの境界を延長して、空間を2分して
行く方法です。3DFPSの原点の一つ(技術的には本当に原点)DOOM(id Software)で
位置解析や、AIのI空間認識、パス探索システムのデータ、などに採用されたことから、Quake シリーズを通して引き継がれています。

 
 bsp.JPG
 
 http://www.beyond3d.com/content/articles/102/2
 http://www.beyond3d.com/images/articles/ingenu-part-2/bsp.png
 
@ Quake Wars における BSP法

intechweb
 http://intechweb.org/

では、無料で、高品質な技術書籍のPDFファイルががダウンロードできるようになっています。
その中でも、

Motion Planning
 http://intechweb.org/book.php?id=74&content=title&sid=1

は、実際のロボットからゲーム内のパス検索までの研究成果を集めた書籍になっています。

この分野は、これからレベルデザインが複雑化するにつれて、AIのための、
地形情報(世界表現)を生成する上で、欠かすことの出来ない技術分野で、
より専門化が進むと予想されます。

例えば、22番目の記事

22  Automated Static and Dynamic Obstacle Avoidance in Arbitrary 3D Polygonal Worlds
J.M.P. van Waveren and L.J.M. Rothkrantz

は、Quake Wars  http://www.enemyterritory.com/
で使用された、AIのためのパスデータ自動生成法が解説されています。

[概説]
@全ての三角形メッシュの傾きを計算する。45度以上のメッシュは通行不可とする。
A通行不可のメッシュを境界として、延長しマップ全体を再分割する(BSP法)。
B動的なパス検索に関しては、落下して来たオブジェクトを床に対して射影し、
 その輪郭をパスとすることで対応する。

J.M.P. van Waveren の一連の論文を読まれていると、より理解が深まることでしょう。
          http://mrelusive.com/publications/pubs_bydate.html

特に、彼の修士論文(CEDEC2006の自分の講演で示唆したことがあるのですが)は、
BSP法が詳しく解説されています。

The Quake III Arena Bot
 J.M.P. van Waveren
   Master of Science thesis, Delft University of Technology, June 2001

   http://www.kbs.twi.tudelft.nl/Publications/MSc/2001-VanWaveren-MSc.html

A 3DFPSにおけるBSP法の源流を訊ねる(有名人大集合…)
以下の、Michael Abrash氏のコラムに情報があります。

Michael Abrash's Graphics Programming Black Book Special Edition
  http://www.phatcode.net/res/224/files/html/index.html

ちょっと面白いので引用してみましょう。
http://www.phatcode.net/res/224/files/html/ch60/60-01.html

In early 1993, I hired Chris Hecker. Later that year, Chris showed me an alpha copy of DOOM, and I nearly fell out of my chair. About a year later, Chris forwarded me a newsgroup post about NEXTSTEP, and said, “Isn’t this the guy you used to know on the DDJ bulletin board?” Indeed it was John Carmack; what’s more, it turned out that John was the guy who had written DOOM. I sent him a congratulatory piece of mail, and he sent back some thoughts about what he was working on, and somewhere in there I asked if he ever came up my way. It turned out he had family in Seattle, so he stopped in and visited, and we had a great time.

1993年、私はクリスヘッカーを雇った。その年の暮れ、クリスは私にDOOMのアルファ版を
見せてくれた。私は、驚いて椅子から転げ落ちそうになった…。

All this is surprisingly closely related to this chapter’s topic, BSP trees, because John is the fellow who brought BSP trees into the spotlight by building DOOM around them. He also got me started with BSP trees by explaining how DOOM worked and getting me interested enough to want to experiment; the BSP compiler in this article is the direct result. Finally, John has been an invaluable help to me as I’ve learned about BSP trees, as will become evident when we discuss BSP optimization.


BSP ツリーは、ジョンカーマックがDOOMに組み込むことで注目を集めた技術なんだ。

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2009年06月14日

Interop Tokyo 2009 関係ないけど帰り道

Interop Tokyo 2009 最近の動向レポート
 http://blogai.igda.jp/article/29781544.html
の続きです。

ai20090611_02.JPG
 Interop Tokyo 2009 の帰り道です。もはや、博覧会とは何の関係もありません。犬

 

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残照を受けるマリーンスタジアム。試合もやってました。猫


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海へ向かって歩いて行くと森に出ます。群青のススキが広がっています。犬


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森を抜けると幕張の海が広がっていました。猫

三宅はここから竜宮城に戻ります。


 ai20090611_07.JPG
夕暮れの砂浜は昼間に駆け抜けた足跡の軌跡が残っています。犬


海辺は潮の香りでいっぱいで、突き抜けた空には夏の気配がしました。

posted by miyayou at 15:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月13日

Interop Tokyo 2009 レポート 最近の動向   

6月12日、千葉県の幕張メッセで開催された Interop Tokyo 2009 へ参加しました。
 http://www.interop.jp/
当日の行きしなは、あいにくの天気でしたが、たくさんの方が参加されていました。3日間で
10万以上の参加者が来られるそうです。 IT業界って大きいんだなあ、と思いました。
ゲーム産業も、IT業界です、よ、ね。
ai20090611_00.JPG
会場の中は、いろいろなブースがところせましと並んでいましたが、トレンドは、
 〇 クラウドコンピューティング 
 〇 デジタルサイネージ(デジタル掲示板、ポスター)
 〇 ライフロギング (これは僕の主観だが) 

「クラウド」は想像以上に足が速い。単なるトレンドとか言葉だとか思っていましたが、大手企業が本腰を入れているようです。去年も、参加しましたが、これほどまでではなかったはずかと思います。

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デジタルサイネージ http://www.digital-signage.jp/
とは、電子掲示板のことで(BBSではないです)、街角のポスターって今、紙ですけれど、液晶や有機ELや電子ペーパーなどでポスターがあって、それが見る人にインタラクティブに反応する、というものです。例えば、カメラやタッチパネルや赤外線を仕込んで、ポスターの前の人を解析しながら反応する、という感じのものです。
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ライフロギングとは、人の生活や自然の変化を、デジタル空間へ情報として取り込むことで、その情報を活用して行こうという流れです。流行で言えば、毎日の自分の食事を記録してカロリーを計算したり、森の成長をずっと何年も記録したり、という感じです。 
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午後から、Interop と併設されているデジタルコンテンツシンポジウム
http://www.digital-content.jp/
で去年発表した論文に対し、DCS船井賞を頂きました。授賞式がありました。http://www.funai.or.jp/ite_list/dcs.html
ありがとうございます。
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会場には、いろいろなセミナーボックスがあって、100人〜200人ぐらいが収容できるようでした、クラウドとかセキュリティーに関する発表があって、特にクラウドの講演はいっぱいでした。
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午後18時で終了しました。
外に出ると、すっかり雨が上がって、晴れた夕暮れが広がっていました。
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デジタル空間がライフな空間とお互いに融合しつつあるのを感じた今年のInteropでした。 
posted by miyayou at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月08日

第1回ゲームデザインワークショップへ向けて[SIG-BG]

6月6日(土)に、

6月20日(土)
 SIGーBG5 ゲームデザインワークショップ
 http://www.igda.jp/modules/eguide/event.php?eid=1

の準備を兼ねて、カタンを使ったゲームデザインのワークショップを行なった。

カタンをプレイする人4人、それをプレイの外から見る人1人、
ワークショップのインストラクター1人という編成で行なった。

第1フェーズ
まず一時間プレイする。経験者の場合は、2〜3ターン終わったところで、
プレイをやめる。

ai_20090606_00.JPG

第2フェーズ
「カタンを如何に拡張するか、改良できるか、また、設定が同じで、違うゲームにできるか」
という題目で、プレイする4人でブレインストーミングを行なって、意見を黄色いポストイットで
貼り付けて行く(30分)。

ai_20090606_01.JPG


 ai_20090606_02.JPG

第3フェーズ
意見が出終わったところで、インストラクターが主要な意見をピックアップして、
方向付けて行く。同時に、その方向に、4人で意見を重ねて行く(1時間)。

 
青いポストイットは議論が収束した事項を示している。

 ai_20090606_03.JPG
 ai_20090606_04.JPG

第4フェーズ
意見がまとまったところで、それを明文化して行く(30分)
できれば、ここでテストプレイをしたいが、今回は時間切れで出来なかった。

 ai_20090606_06.JPG

第5フェーズ
それを他の参加者の前で発表する(3分)。

ai_20090606_05.JPG
という一連の流れでした。

今回は、最初に意見が発散し過ぎて、まとめるのに時間がかかり過ぎて、
かつテストプレイをするには、アイデアが大きすぎたので、テストプレイが出来なかったのが、反省点でした。

もう少し議論をコンパクトにして進めることが出来ればよいと思いました。
 
結果:

タイトル: ドラゴンバスター
テーマ:  カタン島に来たドラゴンを倒す
コンセプト:協力プレイ
説明(ポイント)
盗賊コマを移動するたびに土地を荒廃させるドラゴンと見立て、
そのドラゴンを倒すことが勝利条件。

前半は、ドラゴンをうまく被害の少ない土地に追いやりながら、
精算効率を上げたり、資源の交換をするために道を結んだりする。

後半は豊富にある資源を生産し、ドラゴンにダメージを与える。

ドラゴンは成長して行き、被害を増幅させて行く。
ドラゴンが成長し切ってしまうまでに倒すことができるかが、
勝利・敗北条件となる。

テクニック:各プレイヤーは自分のターンに「生産」「交換」「建設」「カード使用」
の中から2アクション(場合によって増える)を選択する。
ドラゴンに効果を及ぼせるカードの交換は港でしかできず、
使用するにはドラゴンに隣接しているプレイヤーしかできないため、
役割分担が重要になる。

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都市を歩く

僕は多くのものをヴォルター・ベンヤミンに学んだ。
大学に入った頃、僕はベンヤミンをむさぼるように読んだものだった。
しかし、なお僕は彼をその数分の一も理解しているとは言えない。
彼の著作は、なお自分の途上にあって、読まれることを待っている、
そんな気がする。

* * *

都市を歩くことは、
単に空間を横切っていくことではなく、
我々、人間にとっては、
我々の記憶と都市の持つ記憶という、
もう一つの時間軸を加えた、
空間と時間の中を旅することでもある。

東京を歩きながら、僕は僕自身が移動するということのほかに、
僕自身がかつてそこを歩いたという記憶、或いは、
東京という都市自身が体験したかつての記憶を想起する。

そして、遠い向こう、ネオンの点滅する夜の下に
東京という街を捉えるとき、
僕はこの街が見ている夢を身をもって掬う。
この街は夢を見続けているのだ。

我々が活発な意識の下に無意識の広大な土地を持っているように、
東京という街は地上にせわしない動きと建築を展開しながらも、
その地下深く、使われなくなった水路や、パイプラインよりなお深い
地下の暗闇の底で、東京という夢を見続けている。
そこでは都市という大きな存在が、昼には目をつぶり、夜には目を開きながら、
壮大な夢を見続けているのだ。

僕はこの街を歩きながら、そんな夢の一端を共に垣間見る。
僕は街を巡りながら、画家が山河を巡りスケッチを集めるように、
物語のカケラを書き留め続ける。
それは、やがて幾つかの作品として結実する。

ふとした昼間の見知らぬ駅の暗い路地の向こう側、
坂道の向こうに真昼の光に照りかえる新宿や、
夕闇に捕らわれる丸の内のビル街や、
そんな何気ない風景の向こうに、
確かに物語が息づいているのを感じるのだ。
手をかざしてふっと息を引き込むとき、
僕はこの全身に、そんな物語がすっと入ってくるのを感じるのだ。

物語は都市と無縁ではない。
都市という装置は、それが単にオフィスや居住という機能を超えて、
我々の意識を結び合わせ、風景を共有させ、思想を進化させ続ける。
そして、いつしか都市全体が深く夢見る物語は、
そこで生きる人の無意識の中に染み込み、物語として表現される日を待つことになる。

都市はその全身をもって物語を育む装置でもある。
posted by miyayou at 04:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月06日

「Dragon Age」(Bioware)におけるパス検索システム(E3)

「Dragon Age」が E3 で出展されています。

超期待のアクションRPG「Dragon Age」がプレイアブルで出展(4gamers)
 http://www.4gamer.net/games/016/G001607/20090605044/

実は、Dragon Age におけるAIのパス検索システムは既に論文に
なっているので、以下から学ぶことが出来ます。

Memory-Efficient Abstractions for Pathfinding, Nathan Sturtevant, AIIDE-2007, Stanford, CA
 http://www.cs.ualberta.ca/~nathanst/papers/mmabstraction.pdf

 ほぼ同じ内容の論文は、AI Game Prograrammin Wisdom 4, 2.12 にも、

Memory-Efficient Pathfinding Abstractions, Nathan Sturtevant
  
 として掲載されています。

非常に完成度の高い論文で、また、A* に関する分析は、パス検索そのものに
関する知見を与えてくれます。

いきなり、論文というのもしんどいという型は、既に大学の講義でも
教えられているので、

Memory-Efficient Pathfinding Abstractions, Nathan Sturtevant, University of Alberta, Bioware Corp
 http://moodle.cs.ualberta.ca/file.php/133/Lecture21.pdf
  http://www.cs.ualberta.ca/~nathanst/talks/mmabstraction_talk.pdf

Nathan Sturtevant 博士の研究室は、ゲームにおけるパス検索において、
様々な手法を探りながら、かつ完成度の高い研究を展開されています。

 http://www.cs.ualberta.ca/~nathanst/pathfinding.html

その論文からは多くのものを学ぶことができるでしょう。
 http://www.cs.ualberta.ca/~nathanst/

また、この動画などは、A* がなんたるかを教えてくれる非常に面白い動画です。
ヒューリスティック探索(発見的探索)というものの挙動をよく示しています。
 http://www.cs.ualberta.ca/~nathanst/wastar.mov


University of Alberta は Computer Science の講義が、日本では、ちょっと
考えられないぐらい充実しています。以下から、講義コースと資料を閲覧することが可能です。

Course categories
 http://moodle.cs.ualberta.ca/

 上記のパス検索の授業は、 

CMPUT 652 - Winter 2009 - Single Agent Search
 http://moodle.cs.ualberta.ca/course/view.php?id=133

の、第21番目の講義です。
posted by miyayou at 10:22| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月05日

デジタルゲームAIの歴史

今年のはじめの冬に、DCAJ の報告書で、
(デジタル)ゲームAIの歴史をまとめることがあって、

きっとすぐ書けると思っていたら、それどころではなく、
とても手間取りました。自分の不勉強を痛感して、まだまだ学ぶべきことの多さに驚きました。

しかも、今でも、まったく、完全に、成し遂げた、ということはなく、
抑え込もうとした、といった感じがあって、

本当に、ゲームAIというのは、奔放で、自由で、たくさんの内容を含んでいるのだと思いました。
僕がやったのは、メタAIとキャラクターAIを分けて、統一的に解説するという方向でした。

デジタルコンテンツ制作の先端技術応用に関する調査研究報告書
 http://www.dcaj.org/report/2008/data/dc_08_03.pdf
 http://www.dcaj.org/report/2008/ix1_03.html
 (第3章です)

でも、世の中には、いろいろな人が(デジタル)ゲームAIについてまとめていて、
もちろん、本とかにもいっぱいあるのだけれど、

原稿を書く前にいろいろ調べたのですが、
ドイツの大学でゲームAIを研究して教えておられる、

Pieter Spronck 博士
http://www.spronck.net/

が講演された資料(後半は違う人)がとても興味深かったです。
http://www.fdaw.unimaas.nl/education/4.5GAI/slides/Game%20AI%20First%20Lecture.ppt

途中、プエルトリコとかボードゲームを含めて分類してあって特徴的です。
また、博士の研究論文(上記、博士のサイト、publicationsより)も、デジタルゲームAIに関するものが殆どであり、
学ぶことが多いと思われます。


ご参考まで。失礼いたします。

posted by miyayou at 04:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月04日

コンピュータは人工知能の夢を見るか?

旧ブログで、ロボットとコンピュータの違いに書いたことがある。
今度は、それを少し違った視点から描こうと思う。

ロボットにはたくさんのセンサーがつけられていて、自分の身体と合わせて、環境の情報をモニターしながら行動する。
ロボットは現実で「目覚めている」のだ。

一方、コンピュータは、もしシミュレーションだけをしているとしたら、
(物理シミュレーションでも、社会シミュレーションでもよいので想像して頂きたい)
コンピュータは外からの動的な情報を遮断して「夢を見ている」のである。

では、デジタルゲームはどうだろうか?

そこには、(通常は)唯一の外界であるユーザーが存在し、
インプットを投げかけてくる。

コンピュータ(ゲームマシン)はそのインプットに対して、
世界をシミュレーションしながら答えなければならない。
今度は、コンピュータはユーザーに対して夢を見せなければならない。
例えば、ユーザーにヴァナディールという土地にいて、モンスターと戦っていると思わせなければならない。

次の段階としては、

コンピュータはユーザーと一緒に夢を見る。
自ら作り出した世界の中へAIとしてユーザーの前に登場する。

それはちょうど、われわれが夢の中で、自らの記憶から作り出した世界で、
身体をもって活動しているのと似ている。

ある時はモンスターとして、ある時は巨大な竜として、ある時は人のカタチをしたものとして、プレイヤーの傍らにあって、自ら作り出した世界の中で活動し続ける。
コンピュータは人工知能の夢を見る。

また同時に、メタAIとして、自ら作り上げた世界を自在に操ることも出来る。
雨を降らし、嵐をお越し、地を割り、無数のモンスターを解き放つ。
それはちょうど、われわれが夢の中の世界を自在に改変できるのと似ている。

そして、コントローラーの向こうでユーザーが眠りついたとしても、
電源が入っている限り、雑音のなくなった世界でコンピュータは夢を見続ける。

もし、コンピュータが抱え込んだ情報を解析するために、
シミュレーションを利用するとすれば、
それは、われわれが日常で抱え込んだ問題を、
眠った夢の中で解決するのと同じことだ。

そして、もっと高い立場から考えれば、
コンピューターと我々は、同じ夢を別の立場から共有しながら、
現実の何かを乗り越えようとしている。

ゲームとはそういうものかもしれない。
 

posted by miyayou at 04:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月03日

デジタルゲームにおけるCG技術とAI技術の違い (オープン性とクローズド性)

ここでCG技術は、レンダリングとシェーディング、エフェクトなど描画(画面作り)に限定した意味で使う。

デジタルゲームにおいて、CG技術とAI技術は、それ自身の技術の相違の他に、
もう一つ決定的な相違点がある。

ユーザーに対する絵作りをするという意味において、
CG技術は、オープンな技術である。
ここで言うオープンとは、マシンからユーザーに一方的に情報が流れる、という意味である。
パイプラインへ流された情報がスクリーンになって現れるという過程において、
その情報がゲームにもう一度フィードバックされることはない。

そこへ投げられた情報はユーザーの目から、そして頭脳を通ってコントローラーを操作し、キャラクターが動かされることで、ゲームへのインタラクションとして帰って来る。 

一方、デジタルゲームにおけるAI技術は、デジタルゲームの中でクローズな技術である。
それは、徹頭徹尾、ゲームルーチンの中で組み込まれ、
情報の循環の流れの中で運動する。
一つの決定が次のゲーム状態に影響を及ぼし、
その情報がさらに、次のフレームのAIの決定に影響を及ぼす。 ai_20090603_01.JPG
この二者の違いは、開発過程にも決定的な違いとなって現れる。

CG技術は、ゲームコンテンツから離れて設計できる。
(ゲームに対してどんなレンダリングやシェーディングがよいか、という議論は別である)
ユーザーの視点にどのような絵を作るかという探求は、
純粋に、CGの中で閉じて行なうことが出来る。
デジタルゲームにおけるCG技術は、ユーザーがゲームを覗く窓であって、
その窓にどう映るかを設計するである。
例えば、(手間はかかるが)同じゲームを違うシェーディングで実現することは不可能なことではない。

ところが、AI技術は、ゲームコンテンツなしには何一つ組みあがることが出来ない。
ゲームコンテンツがどのようなルーチンによって回されるかという、
そのルーチンの中に絡んでいくことがデジタルゲームAIの性である。

このオープン性とクローズド性は、技術導入という意味でも圧倒的なスピードの違いを
産み出した。CG技術は、独立した技術として急速にデジタルゲームに導入された。
ゲームを覗く窓は、物凄いスピードで高品質化され、それに釣られてモデルやらエフェクトやらを作るのが(物凄く)たいへんになってしまった。

ところが窓がよくなったところで、ゲーム性が進歩しているわけではない。
ファミコン時代の過去のゲームがハイスペックのCGで蘇っても、
ゲーム性が変っているわけではない。

一方、AI技術はコンテンツ技術と深く絡み合うからこそ、
急速な進化を遂げることは出来なかった。
それは、毎回毎回のゲームコンテンツとへ組み込むことの勝負であったから、
極めて慎重に一つ一つの事例を積み重ねて行くしかなかったのである。
しかし、そういった事例も10年も積み重ねるとパターンが見えて来る。
(これこそが技術発表の意義なのである。)そして、そういったパターンを手がかりに、
デジタルゲームAIという分野が形成されている。

ここで言いたいことは、どちらの分野が、どれだけ難しいとか楽だということではない。
デジタルゲームにおけるAI技術とCG技術は、オープン性とクローズド性という意味で、
全く異なるアプローチを持つ分野であるということである。

CG技術のように普遍的な技術を応用してゲームに組み込む、という方向は、
ユーザーの視点というゲームダイナミクスから離れたオープンで固定された立脚点が
あるからこそ可能なのである。

一方、AIはゲームのダイナミクスの中に溶け込み、ゲームのダイナミクスそのものを
形成する一つの要素であって、それは固定された立脚点を持たない、流れる運動そのものなのである。

この対比を覚えておけば、二つの分野をより自由に行き来しながら、
ゲームを製作して行くことが可能になるだろう。

posted by miyayou at 03:03| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記

LEFT 4 DEAD 2 の AI Director 2 (E3)

三宅です。犬

http://news.teamxbox.com/xbox/19818/Left-4-Dead-2-Announced/

で書かれていますが、LEFT 4 DEAD の AI Director 2 は、


soon
Introducing the AI Director 2.0, L4D's dynamic gameplay is taken to the next level by giving the Director the ability to procedurally change weather effects, world objects, and pathways in addition to tailoring the enemy population, effects, and sounds to match the players' performance. The result is a unique game session custom fitted to provide a satisfying and uniquely challenging experience each time the game is played.end

[真中の文章だけ]
AI Director 2 は、プレイヤーたちのプレイ能力(performance)に応じて、
プロシージャルに天候を変え、ワールドのオブジェクトを変え、
パスを変え、敵の出現の分布と数や、エフェクト、サウンドも変化させます。

------------------------------------------------------------------------

太陽の中心、とはイタリアのノーベル賞作家、カルヴィーノの言葉ですが、
「誰もが知っているが、決して直視できないもの」という比喩です。

AI Director のアプローチは誰でも思いつくし知っていたアプローチですが、
こういった方向で完成度高く実現するということは、
なかなか一つ壁を乗り越えた感があります。

たぶん開発者はこう言っていると思います。

「これだけ宣伝すれば、俺たちと同じことをしようっていう奴らも出てくるだろうな」

「あー、でも、結局、俺たちが直面したのと同じ穴にはまってしまうだろうな。
 そこを抜けられればいいけどな。下手をすると、たいへんなことになるからな。」

みたいなー、ことを言っているのではないでしょうか? パンチ

posted by miyayou at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月02日

過去のテクストと創造性について

数学にせよ、経済にせよ、英文学にせよ、
学生の頃、過去のテクストを学ぶということ、

そういった積み重ねの果てに、終点まで行ったところに、
新しい研究が始まる、と思っていた。

しかし、実際は学んでも学んでも果てがない。

大切なのは、過去のテクストから自分なりのコンテクストを
抜き出し、そのコンテクストが描く曲線の果てを見出し、
それを延長することなのである。

つまり、テクストの”読み”自身の中に、
後の研究の萌芽があるのである。
そうやってテクストはテクスト自身を延長し再生産して行く。

独立した点列のような知識だけでは、
いくら学んだところで、研究へと結び付くわけではない。

学習という過程の中に、既に創造的な活動のステップが始まっているのだ。


デジタルゲームの歴史というテクストをどう読めばいいだろうか?

そして、


デジタルゲームAIの過去をどう読めばいいだろうか?

人の数だけ読み方があり、その中の幾つかは、
未来へつながる”読み”なのである。

posted by miyayou at 05:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年05月30日

y_miyakeのゲームAI千夜一夜りにゅある

以前の、IGDA日本で、200篇ほど連載していた、「y_miyakeのゲームAI千夜一夜」が再スタートします。
休載中は、 

  「早く、復帰してくださいね!」
  「読めなくなって寂しいです」
  「三宅さん、読めなくなって始めてよさがわかりました!」

 とか、一切、言われなかったですが、犬

  「読んでます!」
  「以前書いていたよね」 
  「あれ、どういうこと?」


 と(結構よく)言われてたいへん嬉しかったので(調子のんな!)、猫

 頑張って、いろいろな情報をアップしますので、またよろしくお願いします。
 休載中は、AIメイリングリストや、mixi で情報をアップしていました。
 (名前は、miyayou です。)

 まず、このブログを用意してくださった、IGDA日本と副代表のTさんに深く感謝します。
  それでは、よろしくお願いします。


 digra_0529_00.JPG

昨日の日本デジタルゲーム学会の公開講座の様子。
写真サイズのレイアウト、まだ調整の仕方がよくわかっていない。

なんで、こんなに小さいんだろ?  
 
posted by miyayou at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記