数学は長い歴史を持ち、何人もの天才が作り上げて来ました。抽象的な理論を作った人々は、その裏にその前の時代が培って来た豊富な具体的な事例を持っていました。しかし、後世の作り上げられた抽象的な理論を学ぶ人は、残念ながら、巨匠の手によって作られた理論に登ることはできても、具体的な事例に降りて来れない、ということがよく起こります。逆に、具体的な事例から抽象的な理論に登れないということもあります。具象と抽象の間を自由に行き来するということが、力を持つということです。
同じように人工知能でも、作り上げられた理論を学んだり、そのフレームの中で仕事をすることはできても、知能のいきいきとした具体例まで降りて来れない、ということが起こり始めています。大切なのは、目の前のたくさんの知性をよく観察することです。人間も、蟻も、鳥も、そして自然界の全体が、知能を探究しようとする人にとって、最大の教師ということを決して忘れてはなりません。そして、そういった自然と知能の理論を結び付けようとし、その間に深く横たわる深淵を見るとき、知能と人工知能の両者の違いが浮き彫りになり、ちょうど芸術家が自然の造形に深く畏敬の念を抱くように、知能に対する深い畏敬と理解に達することができます。
2012年06月23日
抽象と具象の間で〜人工知能と数学について〜
posted by miyayou at 12:23
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