2010年05月12日

ロボカップジャパンオープン2010大阪レポート(後篇)


前篇からの続きです。
 http://blogai.igda.jp/article/37941295.html

さて、シミュレーションリーグには3つのリーグがある。
ai_20100512_12.JPG

まず、2次元リーグは本当のサッカーのルールに乗っとり、
2次元上のフィールドで22人の自律エージェントが協調しながら
戦うのである。各エージェントは学習によって強化されており、
ここは、学習を用いることがなくアルゴリスティックに構築される
デジタルゲームのサッカーAIとは違うところだ。

どんな技術が使われいるかは以下の講演資料を見るとよいだろう。


 西野順二先生「サッカーのAI RoboCupサッカーシミュレーションリーグ」(2009年5月29日 DiGRA JAPAN 講演)
  http://www.digrajapan.org/modules/mydownloads/viewcat.php?cid=11

 西野順二先生「AI分野(1)ゲームとAI」
  http://cedec.cesa.or.jp/2008/archives/file/ac09-1.pdf
 
 WORLD CLUB Champion Football を支える5つのAI DiGRA JAPAN5月公開講座
  http://www.inside-games.jp/article/2009/05/31/35497.html

ai_20100512_13.JPG

次に3Dリーグは3次元仮想空間で、3Dのロボットが戦う。これを聴くと、
デジタルゲームと同じだろうと思うだろうが、ロボットの内部構造までは、バネや
モーターで設計されており、その計算モデルに従ってロボットを動かさなくてはならない。

そのため、数少ないロボットを、負荷の高い物理計算によって動かさなければならない。
実際、加速して運動すると不安定なバランスで、ぶつかると、あっという間に倒れてしまい、
安定の悪いものは歩いて止まるという、その加速度の変化で倒れてしまうのであった。

サッカーとは別のものを見ているような気もしたが、これから発展すれば、
デジタルゲームのAIにも、別の可能性を見せてくれるだろう。

デジタルゲームのAIの場合は、まずエージェントのアニメーションを作ってから、
それを、組み合わせて現実のプレイに近づけようとするが、

EA、2009年に大成功した「FIFA10」、「BF1943」について講演
 http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100315_354808.html

ロボカップ3Dリーグのエージェントは物理駆動で動かして
ゲームを組み立てようとしているのである。

デジタルゲームで用意するアニメーションは年々、複雑かつ体系的になっており、
ロボカップサッカー3Dシミュレーションとは違う方向なのである。

 ai_20100512_20.JPG
 最後に、レスキューシミュレーションの大会会場へ赴いた。
ai_20100512_21.JPG 

そこでは、校舎をモデルにしたマップ上で、火の手が上がっていく中で、
巻き込まれた人々を、救助AIたちが助けるというシミュレーションが
行われていた。

ai_20100512_19.JPG

AR を使ったシミュレーションがあった。ARマークが書かれたコマが動いて、
天上から吊るされたカメラから見ると、そこにキャラクターを認識することが出来る仕組みである。


さて、以上がロボカップジャパンオープン2010大阪レポートである。
研究は見掛け上のエレガントさや面白さを求めない。コツコツと実直な
成果を上げながら、リアルなサッカーに近づけて行く。
もっとも、現実のサッカーの思考に近い2Dシミュレーションリーグでさえ、
当初はダンゴ状態のサッカーゲームが多かったそうである。

そういう意味で、現在、原初的にある段階のリーグでも、様々な積み重ねと
ブレイクスルーの中で、自然にサッカーゲームが構成されて行くことを
念頭に置いて、研究が進められている。

一方、デジタルゲームのサッカーはかなり恣意的かつユーザーに向けて、
言わばゲームを取り繕っており、そのリアルさは、膨大なデータの準備と
演出によって、そして、エージェントの思考によって支えられている。

ロボカップサッカーを学ぶことは、エンターテインメントと学術研究の
対比を理解するのみならず、学術から学び得る部分を知る貴重な機会である。

ロボカップサッカーの情報、写真、動画は、WEB上に散見できるので、
調査すると、AI学習の端緒とすることができるだろう。

[参考文献]
秋山 英久 (著) 、 「ロボカップサッカー シミュレーション2Dリーグ必勝ガイド」


robocup_soccer_2d.jpg

絶版みたいです。自分は、先週、本屋で偶然手に入れました。
とてもわかりやすく、実際の実装が解説されています。
 
ゲームの実装と違うところは、慣性スピードや、回転などまで、
リアルな環境を前提に実装がされているところです。
簡単に言えば、自分の位置情報まで含めてチートが全くない、
という点でしょうか。

posted by miyayou at 03:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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