2009年08月05日

ゲームとアフォーダンス

アフォーダンスとは、環境が主体に許容する行為のことである。
例えば、椅子は座ることが出来、窓ガラスはそれを通して見る、或いは、
壊すことが出来、ボタンは押すことが出来、我々は空いた空間を歩く、
走る、這う、ことが出来る。

こういった行為のアフォーダンスは、
ゲームにおいて特に重要である。

アフォーダンスからゲームを見ると、様々なものが見えて来る。

ボードゲームのアフォーダンスは、ほぼルールと同義である。
駒、カードの規約、交渉は、全てルールに書かれている
手順とタイミングに置いて行なわなければならない。

将棋のアフォーダンスとは、駒の動かし方であり、ルールである。
しかし、そんな将棋でさえ、そのアフォーダンス=ルールは、
時代を経て変化して来た。

アクションゲームにおけるアフォーダンスは深刻な問題である。
その空間において、キャラクターが、その位置、その場所において、
許されている行動はどのようなものだろうか?

例えば、AI=キャラクター(NPC)が、風車に飛び乗る、という行為を
行なうことを考えてみる。それが、どの位置で、どのタイミングであるかは、
プレイヤーなら、試行錯誤の末に知ることが出来る。

しかし、AIには、実装として与えてやらなければならない。
そういった実装が積み重ねて行くと、高度なAI=環境に対応できるAI、
はすぐに膨らんで行くことになる。

人間は、そういった環境が許容する情報を、無意識の中で、
紡ぎ出す能力がある。

キャラクターAIにおけるアプローチとは、
そういったアフォーダンス情報をマップの情報を埋め込むことだ。
人間が生来的に得ているアフォーダンスを見出す能力は、
現段階のAIではそのまま実現することはできない。
それは、AIの最終問題と繋がっている重要で最難解な問題だ。
だから、そういったアプローチよりは、現在では、
位置(ウェイポイント、ナビゲーションメッシュ)、
オブジェクトに、アフォーダンス(何ができるか)という情報を
埋め込んでおく。

車というオブジェクトには運転できる、
ボールには動かせる、
椅子には座れる…。
 ところが、こういったアプローチは、実はアフォーダンスの思想そのもので
あったりする。アフォーダンスとは、位置や物体に埋め込まれた許容情報、
(正確には、人間が認識する対象に対して埋め込まれた情報)であるからだ。

例えば、HALO や、The Sims では、場所、オブジェクトに、行為の情報が
埋め込まれている。
ai_20090804_01.JPG
Dude, where's my Warthog?
From Pathfinding to General Spatial Competence
Damián Isla

今年のGDCでも、Damian Isla が、アフォーダンスがゲームAIの基礎と
して大切なことを強調していた。(AIサミットの資料参考)

自分のAIセミナーでもよく使う言葉の一つである。
いずれ、ゲームAIの基礎論の用語としても、定着して行くことだろう。

また、ゲームデザインにとっても、ユーザーのアクションのアフォーダンスを設計することは、ゲームデザインとほぼ同義である。そして、そのアフォーダンスは、ユーザーに直感的でわかりやすいものでなければならない。

また、インターフェース=ボタンや表示のデザインにも、アフォーダンスは重要である。押すべきボタンは押せるというアフォーダンスを示すことが望ましく、横に開くドアは、横に開けるように見えることが、ゲームでは大切なことだ。

 
[参考]
アフォーダンスと引くだけで、10冊ぐらい入門書がありますが、
一番わかりやすいのは、

アフォーダンス-新しい認知の理論 (岩波科学ライブラリー (12)) (単行本(ソフトカバー))
佐々木 正人 (著)

アフォーダンス入門――知性はどこに生まれるか (講談社学術文庫 1863)
著 佐々木 正人
posted by miyayou at 04:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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