2009年06月04日

コンピュータは人工知能の夢を見るか?

旧ブログで、ロボットとコンピュータの違いに書いたことがある。
今度は、それを少し違った視点から描こうと思う。

ロボットにはたくさんのセンサーがつけられていて、自分の身体と合わせて、環境の情報をモニターしながら行動する。
ロボットは現実で「目覚めている」のだ。

一方、コンピュータは、もしシミュレーションだけをしているとしたら、
(物理シミュレーションでも、社会シミュレーションでもよいので想像して頂きたい)
コンピュータは外からの動的な情報を遮断して「夢を見ている」のである。

では、デジタルゲームはどうだろうか?

そこには、(通常は)唯一の外界であるユーザーが存在し、
インプットを投げかけてくる。

コンピュータ(ゲームマシン)はそのインプットに対して、
世界をシミュレーションしながら答えなければならない。
今度は、コンピュータはユーザーに対して夢を見せなければならない。
例えば、ユーザーにヴァナディールという土地にいて、モンスターと戦っていると思わせなければならない。

次の段階としては、

コンピュータはユーザーと一緒に夢を見る。
自ら作り出した世界の中へAIとしてユーザーの前に登場する。

それはちょうど、われわれが夢の中で、自らの記憶から作り出した世界で、
身体をもって活動しているのと似ている。

ある時はモンスターとして、ある時は巨大な竜として、ある時は人のカタチをしたものとして、プレイヤーの傍らにあって、自ら作り出した世界の中で活動し続ける。
コンピュータは人工知能の夢を見る。

また同時に、メタAIとして、自ら作り上げた世界を自在に操ることも出来る。
雨を降らし、嵐をお越し、地を割り、無数のモンスターを解き放つ。
それはちょうど、われわれが夢の中の世界を自在に改変できるのと似ている。

そして、コントローラーの向こうでユーザーが眠りついたとしても、
電源が入っている限り、雑音のなくなった世界でコンピュータは夢を見続ける。

もし、コンピュータが抱え込んだ情報を解析するために、
シミュレーションを利用するとすれば、
それは、われわれが日常で抱え込んだ問題を、
眠った夢の中で解決するのと同じことだ。

そして、もっと高い立場から考えれば、
コンピューターと我々は、同じ夢を別の立場から共有しながら、
現実の何かを乗り越えようとしている。

ゲームとはそういうものかもしれない。
 

posted by miyayou at 04:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/29581889
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック